純白のドレスのようにとても薄く白く透き通ったミルクグラス、そして繊細なエンボス加工。約70年前のガラスでありながら、未だにその美しさを現世に伝えるその佇まいは、単なる食器の域を超え、美術品の域に達しているのではないでしょうか。そんなマクベスエバンスをその象徴的なアイテムと共に掘り下げてみたいと思います。
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一口にミルクグラスと言っても、長い歴史の中で多くの会社が生産してきたため、様々なタイプのミルクグラスが市場には残っていますが、その中でも一際異彩を放っているミルクグラスといえば、このMacbeth-Evans(マクベスエバンス社)のものでしょう。
その特徴は、「とにかく薄い繊細なミルクグラス」であるということ。かなり薄手な造りで、取り扱いに注意が必要になってきますが、その美しさはため息ものです。かなり透けています。
一般的に、アメリカミッドセンチュリー期のミルクグラスというと、ポテッとしたフォルムで、またそのミルクグラス独特の風合いから少し無骨だったりポップな印象が強いですが、対照的にこちらは華やかで繊細、ファンシーなシーンを演出させてくれます。恐慌時代にハンドメイドから機械生産に変わり、隆盛を極めたこともそのスタイルを確立していった要因でしょう。
1899年にペンシルベニアでハンドメイドのガラス会社として誕生し、1936年にパイレックスでおなじみのコーニングに買収されるまでに幾つかの名作を生み出してきました。特に有名なのがアメリカンスィートハートとペタルウェアです。
American Sweet Heart (アメリカンスィートハート)シリーズはまさにディプレッショングラスだと感じさせてくれるその繊細なエンボス加工が人気のグラスで、その独特のミルクグラス”Monax (モナックス)”だけでなく、ピンクの透明グラスのものもあります。
個人的には、やはりミルクグラスの方が好みではありますが、このディプレッショングラスを代表するピンク色も多くのコレクターがいます。
サーブ用の小さいプレートは比較的入手しやすいですが、ソルト&ペッパーのシェイカーなどの一部モデルでは10万円近くの、かなり高額で取引されるものもあります。
そして、もう一つ代表的なシリーズである”Petalware (ペタルウェア)”はその花びら(ペタル)をイメージさせる同じく繊細で美しいモデルです。アメリカンスィートハートと同じく白いモナックスとアイボリーカラーに近い”Cremax (クリマックス)”と2種類のミルクグラスと、こちらもピンクの透明グラスのものが確認されています。
アメリカンスイートハートよりもエンボスがない分、よりカジュアルなシーンにもいけそうです。
ペタルウェアにゴールドリムを使用したものなど、ペイントされたものなどバラエティが存在しますがやはり一番人気なのはパステルバンドでしょう。とってもポップな風合いのパステルカラーのラインが全て手書きで描かれています。
最近では特に見ることが稀になってきたモデルで、オークションで出来ても一客$60近くで取引されたり、特に状態が良いものに出会うことはなかなかありませんが、その価値はあると言える素晴らしい一品です。コマーシャルのリビングシーンに映えそうですね。今度提案してみようと思います。
以上、とても繊細で美しいマクベスエバンスについて簡単に触れてみましたが、他にも魅力的なシリーズがあるブランドなので、機会があればさらに掘り下げたいと思います。
日本では、まだまだ取引が少なく、あまり知名度がありませんが、一度手に取るとこの素晴らしさは実感していただけることでしょう。今が手に入れるチャンスかもしれません。
“圧倒的なミルクグラスの美しさ。マクベスエバンスとは” への4件の返信